【受験数学】条件付き確率の公式とイメージを徹底解説!!【確率】(例題つき)

今回は確率の中でも「条件付き確率」について解説します。

条件付き確率は、通常の確率とは少し考え方が違いますが、公式を覚えてさえいれば答えを求めることはそれほど難しくありません。

そのため「とりあえず公式を覚えているから計算はできるけど実は意味はよくわかっていない」「多少複雑な問題になると途端に解くことができない」という受験生は意外と多いのではないでしょうか。

 

ということで、今回は条件付き確率について、公式からイメージまで解説していきたいと思います!

この記事を読み終える頃には「なるほど!条件付き確率ってそういうことだったんだ!」と思えるくらい理解が深まっているはずです!

 

目次



 

条件付き確率の公式

まずは基本事項として、条件付き確率の公式を書いておきます。

 

<条件付き確率の公式>
ある事象 Aが生じたという条件の下で、事象 Bが生じる確率 P_A(B)

 P_A(B) = \cfrac{P(A \cap B)}{P(A)}

と表される。
 
この公式について少し解説を加えておきます。
まずは下図のようなベン図を考えます。

f:id:hmorinari:20190118203325p:plain

以降、各集合に含まれる要素の数を n(\bigcirc)と書きます。
 
通常の確率では、ある事象 Aが生じる確率 P(A) P(A) = \cfrac{n(A)}{n(U)}、ある事象 Bが生じる確率 P(B) P(B) = \cfrac{n(B)}{n(U)}と表されますね。
この考え方は中学校で初めて確率を学んだときに教わったと思います。
例えば 10本中 2本当たりが入っているようなくじ引きで、あたりを引く確率を考えてみると
 n(U) = 10であり、 n(当たり) = 2なので、 P(当たり) = \cfrac{2}{10} = \cfrac{1}{5}と計算できます。
 
次に条件付き確率では、“事象 Aが生じたという条件の下で”の確率なので、すでに事象 Aについては発生しているとわかっています。
(少なくとも発生していると“仮定”しています)
ですので、全事象はもはや Uではなく、 Aであると考えることができます。
ということは事象 Aの外側については考えなくても良いので、このときに生じる事象 B (A \cap B)の部分だと考えられます。
従って、事象 Aが生じたという条件の下で、事象 Bが生じる確率は
 P_A(B) = \cfrac{n(A \cap B)}{n(A)}
と書くことができます。
この式の分母分子を n(U)で割っておくと
 P_A(B) = \cfrac{\frac{n(A \cap B)}{n(U)}}{\frac{n(A)}{n(U)}} \\ \quad \quad = \cfrac{P(A \cap B)}{P(A)}
と上に書いた公式の形を導くことができました。
 
これで条件付き確率の公式と、その意味については理解できたのではないでしょうか。
しかし、式はわかってもまだ「条件付き確率自体がそもそも何なのか」という疑問は解消されていないと思います。
ですので次はこの疑問に答えていきたいと思います!
 
 

条件付き確率のイメージ

通常の確率は、何かしらの出来事が発生する可能性を考えたかったのでした。

例えば「宝くじを買ったら1等が当たるかなぁ」や「明日は晴れるかなぁ」ということが気になっており、その出来事がどれくらい発生しそうかということを知りたいので確率というものを求めるのです。

 

しかし、ある出来事が発生するかどうかというのはそんなに単純な話ではなく、様々な条件が絡んでくるはずです。

例えば明日の天気を例にしても「今は梅雨だ」や「台風が近づいてきている」、「日本の周りに目立った雨雲はない」といった状況(条件)によっても、明日の天気が晴れである確率は変わってしまうはずです。

 

ということは、ある条件に限った状況を考えてより正確に可能性を見積もりたい、という気持ちになるかもしれませんね。

そこで必要になってくるのが条件付き確率です。

 

先ほどの天気の話を例に、もう少し具体的に説明しましょう。

(*わかりやすく説明したいので、多少正確ではない表現もあるかと思いますがご容赦ください)

 

例えば昨年東京では、1年間(365日間)のうち雨が降った日が100日間だったとします。

そうすると、東京である日雨が降る確率は \cfrac{100}{365} = 約27%です。

ただ、梅雨の時期(ここでは6月だということにしましょう)は1ヶ月間(30日間)のうち雨が降った日が20日間だったとすると、この時期に雨が降る確率は \cfrac{20}{30} = 約67%です。

つまり今が6月だとすると、明日雨が降る確率は27%くらいだから傘は持っていかなくていいかと外出してしまうと、実は6月なので雨が降る確率は67%もあり、雨に打たれてしまう可能性が高いですね。 

 

この例はかなり極端な話ですし、梅雨の方が雨が降る確率が高いのは当然だと思うでしょう。

ただ、このようにある条件があると確率が変わるというのは世の中では多いです。

もう少し実用的な例は下の例題で扱いたいと思います。

 

ここで、ポイントとなってくるのが“条件によって確率が変わる”ということです。

これは確率の問題では非復元抽出(くじ引き)の問題の状況ですね!

ですので、入試では条件付き確率の問題は独立試行ではなく非復元抽出の問題と絡めて出題されることが多いです。

非復元抽出(くじ引き)の問題についての解説にはコチラの記事も併せてご覧ください!

hmorinari.hatenablog.com

非復元抽出の、より詳しい解説はコチラ!

coconala.com

 

 

例題を用いた解説

ここまでの説明で、条件付き確率の公式とそのイメージがある程度は理解できたと思います。

そこで、例題を用いてより一層理解を深めていきましょう!

ちなみにこの例題は条件付き確率の分野においては非常に有名で、いろいろなところで紹介・解説されています。

 

(例題)
一般的に1,000人に1人 (= 0.1\%)が罹っている病気があるとする。A君はこの病気に罹っているかを調べるために病院で検査を行なった。
この検査では、実際に病気に罹っている場合には95%の確率で陽性になるが、病気に罹っていない場合でも2%の確率で陽性となってしまうという。
A君がこの検査を受けて陽性だったとき、実際にこの病気に罹っている確率を求めよ。 

 

この問題において求めたい確率は「検査で陽性だった」という条件の下で「実際に病気に罹っている」確率です。

つまり前半の「検査で陽性だった」というのが今までの説明でいうところの事象 Aであり、「病気に罹っている」というのが事象 Bです。

求めたい確率は P_A(B) = \cfrac{P(A \cap B)}{P(A)}なので、これを計算するためにまずは P(A) P(A \cap B)を求めていきましょう。

 

まずは P(A)について、検査で陽性となるのは

「実際に病気に罹っていて陽性となる」

or

「実際は病気に罹っていないが陽性となってしまう」

の2通りが考えられるので

 P(A) = \cfrac{1}{1000} \cdot \cfrac{95}{100} + \cfrac{999}{1000} \cdot \cfrac{2}{100} 

となります。 

また、 P(A \cap B)について、これは「実際に病気に罹っている( B)」かつ「検査で陽性となる( A)」確率なので

 P(A \cap B) = \cfrac{1}{1000} \cdot \cfrac{95}{100}

となります。

 

従って、求める確率は 

 P_A(B) = \cfrac{\cfrac{1}{1000} \cdot \cfrac{95}{100}}{\cfrac{1}{1000} \cdot \cfrac{95}{100} + \cfrac{999}{1000} \cdot \cfrac{2}{100}} \\ \quad \quad = 約4.5\% 

と計算できます。

意外と低い確率ですね。なのですぐさま「病気に罹っている」と絶望する必要はないのです。

かと言ってでは検査をする意味がないと言っているのではありません。

例えばもう一度検査をして、もう一度陽性だったとしましょう。

そのときに実際に病気に罹っている確率は、先ほどの式で 0.1\%だった部分を 4.5\%に置き換えて同様の計算をすればよく、この確率は

 P_{A'}(B) = 約69.1\%

となります。

2回検査を受けることで、かなり精度を高められることがわかりますね!

(ですので検査が意味のないものであるということは決してありません)

 

 

まとめ

どうでしょうか。条件付き確率について、理解が深まったと思ってもらえれば幸いです。

とはいえ、受験では公式を覚えていないと問題を解けないので、まずは公式と計算方法をしっかりと覚えることから始めましょう!