【受験数学】軌跡の問題の解き方を徹底解説!!【軌跡と領域】(例題つき)

 今回は大学入試において、よく出題される分野である軌跡と領域から、軌跡の問題の解き方について解説していきます。 

まず、軌跡の問題として以下に例題を挙げておきます。

 

(例題)
 (x - 2)^2 + y^2 = 4上の原 Oおよび点 A(4, 0)がある。
 Pがこの円周上を動くとき、三角形 OAPの重心 Gの軌跡を求めよ。

 

今回はこの例題を用いて、軌跡の問題を解くための定番の解法について解説していきます。 

 

目次



 

軌跡の問題に対する定番の解法

軌跡の問題は簡単な問題から難しい問題まで、ほとんどすべての問題は同様の考え方、解法によって解くことができます。

そしてその解法は手順化することができ、以下の3つのステップを順に行うことで軌跡を求めることができます。

  • Step1) 軌跡を求めたい点の座標を文字で置く( P(X, Y)など
  • Step2) 問題文の条件をすべて列挙し、立式する
  • Step3) Step1で設定した文字以外を消去し、軌跡を求める

 

軌跡の問題を解く手順はたったのこれだけです。

そのうえ上記の手順のStep1は、座標を文字で置くだけなので、特にやることはありません。

つまり、実質2つのステップを行うだけで、軌跡を求めることができるのです!

 

以下では例題を用いて各ステップでどのような計算を行うのかについて、詳しく解説していきます。

 

Step1) 軌跡を求めたい点の座標を文字で置く

このステップでは軌跡を求めたい点の座標を文字で置けばよいのでしたね。

今回の例題においては三角形 OAPの重心 Gの軌跡を求めたいので、この点について G(X, Y)と置くことにしましょう。

このように座標を設定するだけで、Step1は完了です。

いかがですか?簡単ですね!

それでは次のステップに進みましょう!

 

Step2) 問題文の条件をすべて列挙し、立式する

このステップでは問題文の条件をすべて列挙し、立式していきます。

ここでは条件をまずは日本語でもいいので列挙しきってから、後でまとめて立式するということをお勧めします。

というのも、逐一立式していくと条件を見逃してしまい、後々式が足りないなということになってまた問題文を読むところからやり直しになってしまう可能性があるからです。

まずは条件を列挙するところに集中して、条件を探していきましょう! 

 

では、今回の例題における条件を列挙すると

  1.  Pは円周上を動く
  2.  Gは三角形 OAPの重心である。

となります。

 

このように条件を列挙できれば、次は立式していきましょう。

上の条件1については

 P(2\cos{\theta} + 2, 2\sin{\theta})

 0 < \theta < 2\pi,  \theta \neq \pi

と設定することで立式することができます。

 \thetaについての範囲は、3点 O, A, Pが一直線上に並ばないように設定しました。(つまり、三角形 OAPを作ることができるように設定しました。)

 

次に条件2については

 X = \cfrac{0 + 4 + 2 \cos{\theta} + 2}{3} \\ \quad \quad = \cfrac{2 \cos{\theta}}{3} + 2

 Y = \cfrac{0 + 0 + 2\sin{\theta}}{3} \\ \quad \quad = \cfrac{2 \sin{\theta}}{3}

と立式することができます。

 

これで、条件の列挙と立式が完了しましたね。

ここでのポイントは

 (条件式の数) = (未知数の個数) - 1

となっていることです。

条件式をすべて列挙できているかどうかの指標の一つとして使いましょう。

 

(*条件1については

 P(p, q), \quad (p - 2)^2 + q^2 = 4

と立式しても同じ結果になります。)

 

Step3) Step1で設定した文字以外を消去し、軌跡を求める 

 このステップではいよいよ軌跡を求めていきます。

Step2で列挙した条件式から、Step1で設定した文字(今回は X, Y)以外を消去していきましょう。

 

Step2で求めた X, Yについての条件式から、三角関数 \cos{\theta}, \sin{\theta}を消去すると(正確には \thetaを消去すると)

 (X-2)^2 + Y^2 = \cfrac{4}{9}\cos^2{\theta} + \cfrac{4}{9}\sin^2{\theta} \\ \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad = \cfrac{4}{9}

となります。

 

また、 \thetaについての条件も X, Yの条件に変形しておくと

 Y \neq 0

とすることができます。

これで軌跡が求まりましたね!

 

まとめ

今回のポイントをまとめておきましょう。

  • 軌跡の問題を解く方法は決まっており、手順化することができる
  • 3つのステップを順に行うことで軌跡を求めることができる
  •  (条件式の数) = (未知数の数) - 1の意識を持つ