【センターで確率漸化式!?】2019年センター試験の数学、確率の問題を徹底解説!!【確率】【受験数学】
今回は2019年のセンター試験の中から、数学1Aの確率の問題をピックアップして解説していきたいと思います!
なにやら「センター試験の確率で確率漸化式が出題され、極めて難化した」という噂を聞いたので、この問題を丁寧に解説していきたいと思います!
まずはここに問題を書いておきます。
赤い袋には赤球2個と白球1個が入っており、白い袋には赤球1個と白球1個が入っている。
最初に、さいころ1個を投げて、3の倍数の目が出たら白い袋を選び、それ以外の目が出たら赤い袋を選び、選んだ袋から球を1個取り出して、球の色を確認してその袋に戻す。
ここまでの操作を1回目の操作とする。2回目と3回目の操作では、直前に取り出した球の色と同じ色の袋から球を1個取り出して、球の色を確認してその袋に戻す。
(1) 1回目の操作で赤い袋が選ばれ、赤球が取り出される確率はであり、白い袋が選ばれ赤球が取り出される確率はである。
(2) 2回目の操作が白い袋で行われる確率は である。
(3) 1回目の操作で白球を取り出す確率を で表すと、2回目の操作で白球が取り出される確率は と表される。
よって、2回目の操作で白球が取り出される確率は である。
同様に考えると、3回目の操作で白球が取り出される確率はである。
(4) 2回目の操作で取り出した球が白球であったとき、その球を取り出した袋の色が白である条件付き確率は である。
また、3回目の操作で取り出した球が白球であったとき、初めて白球が取り出されたのが3回目の操作である条件付き確率は である。
目次
確率漸化式の問題なのか!?
さて、まずは問題の解説に入る前に、この問題が本当に確率漸化式の問題なのかということについて考えておきます。
結論から言うと「確率漸化式の問題ではない」です。
というのも、そもそも漸化式というのは数列の分野で初めて登場するものであり、これは高校数学では数学Bに位置付けられているはずです。
すなわちそれよりも手前の数学1Aで漸化式が出題されるはずがないのです。
また、この問題の解説を読めばわかると思いますが、解答において漸化式を解くどころか、漸化式を立式することもありません。
この2つの事実から、確率漸化式の問題とは言えないでしょう。
ではなぜ確率漸化式の問題だと言われているかというと、問題を解くに当たっての考え方が確率漸化式の考え方に似ているからだと思われます。
とは言えもちろん確率漸化式の考え方を知らなければ解けないかというとそんなことはなく、きちんと誘導に乗って計算していけばそれほど難しい問題ではありません。
(多少計算が面倒ですが。。。)
それではここから具体的な解説に入っていきましょう!
問題の誘導を意識してみてください!
解答・解説
まずは状況を図で表しておきましょう。
(1)の解説
まず(1)は一般的な確率の問題ですね!
1回目の操作で赤い袋が選ばれて、赤球が取り出されるのは、さいころの目が1, 2, 4, 5のいずれかであり、赤い袋に入っている3個の球の中から2個の赤球のどちらかを取り出す確率なので
となります。
次に、白い袋が選ばれて、赤球が取り出されるのは、さいころの目が3, 6のいずれかであり、白い袋に入っている2個の球の中から赤球を取り出す確率なので
となります。
(1)は特に悩まずに解きたいところですね!
(2)の解説
ここからは常に誘導を疑いましょう!
つまり、これより前の問題が関係していないかということを考えるということです!
(2)は、2回目の操作が白い袋で行われる確率であり、これはつまり1回目の操作で白球を取り出す確率です。
これは(1)の余事象であるということに気づけるといいですね!
つまり求める確率は
と計算できます!
ちなみにこの問題を(1)の結果を用いずに解く場合は、2回目の操作が白い袋で行われるのが、1回目の操作で白球を取り出すときであることから(1)と同様の場合分けを行なって
と計算することもできます。
この問題に関しては誘導に乗らなくてもそれほど大変ではないですね。
(3)の解説
この問題からは誘導に従っていきましょう。
(3)では(2)までの考え方を参考にして解きます。
2回目の操作で白球が取り出されるのは
(i)「1回目の操作で白球が取り出され、かつ2回目の操作で白球が取り出される」
or
(ii)「1回目の操作で赤球が取り出され、かつ2回目の操作で白球が取り出される」
のいずれかですね!
(i)の確率はです!
(ii)の確率はです!
よってこれらを足し合わせて、2回目の操作で白球が取り出される確率は
と表されることになりますね!
これを用いて、2回目の操作で白球が取り出される確率を計算しますが、(2)よりなので
と求めることができます!
また、同様に考えると、3回目の操作で白球が取り出される確率は、2回目の操作で白球を取り出す確率を改めてとすることで、同様の式で表されるため、結局
と計算することができますね!
この辺りの考え方は確かに確率漸化式の考え方に似ていますが、きちんと誘導に従うことで問題なく解くことができるはずです!
(4)の解説
(4) は条件付き確率の問題ですね。
前半の問題から見ていきましょう!
前半の問題では「2回目の操作で取り出した球が白球であった」条件の下で「その袋が白い袋である」確率を求めればよいです。
条件付き確率の公式を使うために、およびをそれぞれ求めていきましょう!
(3)の結果より
であることがわかります。
また、について、これは1回目に白球を取り出して、2回目も白球を取り出す確率なので、(2)の結果より
と計算できます!
従って、求める条件付き確率は
です!
後半の問題について、前半と同じように条件を分解しましょう!
そうすると、「3回目の操作で取り出した球が白球であった」条件の下で「3回目で初めて白球を取り出す」確率を求めればよいことになります。
については(3)の結果より
であり、については取り出す球の色が「赤→赤→白」であれば良いので
です。
従って、求める条件付き確率は
です!
いかがでしたか?
確率漸化式についてはコチラでも詳しく解説しています!
くじ引きの確率についてはコチラで詳しく解説しています!
条件付き確率 についてはコチラ!