【受験数学】領域の解法を徹底解説!【包絡線】【軌跡と領域】(例題つき)

前回、前々回はそれぞれ逆像法、順像法による解法を解説しましたが、今回はその続きとして、包絡線による解法を解説していきます。

 

順像法による解法や、領域の解法全般についての説明、特徴などについては前回書いたコチラの記事をご覧ください!

【受験数学】領域の解法を徹底解説!【順像法】【軌跡と領域】(例題つき) - hmorinari’s diary

 

 順像法による解法や、領域の解法全般についての説明、特徴などについては前回書いたコチラの記事をご覧ください!

【受験数学】領域の解法を徹底解説!【逆像法】【軌跡と領域】(例題つき) - hmorinari’s diary

 

軌跡の解法については以前に解説しコチラの記事をご覧ください!!

【受験数学】軌跡の問題の解き方を徹底解説!!【軌跡と領域】(例題つき) - hmorinari’s diary

 

今回は次のような例題を用いて考えていきましょう。

 

(例題)
実数 t t \gt 0の範囲で変化するとき、2点 A \biggl( 0, \cfrac{\sqrt{t}}{2} \biggr), \quad B \biggl( 2t, \cfrac{3}{2} \sqrt{t} \biggr)を結ぶ直線の通過領域を求めよ。

包絡線の解法

包絡線による解法の手順は以下の4ステップで書くことができます。

 

(包絡線による解法の手順)
  1. 通過領域を求めたい直線あるいは線分の方程式を求める
  2. 直線が接している曲線(これを包絡線と呼ぶ)と曲線との接点を求める
  3. 直線の動きを想像して領域を図示する
 
包絡線の解法は、他の2つの解法に比べてイメージしやすい解法だと思います。
それではここからは例題を用いて具体的にみていきましょう!
 

例題を用いた解説

 
それではStep1から手順を追っていきましょう!
 

Step1) 通過領域を求めたい直線の方程式を求める

今回は2点 A、Bを結ぶ直線の通過領域を求めたいので、この直線の方程式を求めていきましょう。
 
まず、直線ABの傾きは
 (傾き) = \cfrac{\cfrac{3}{2}\sqrt{t} - \cfrac{1}{2} \sqrt{t}}{2t - 0} \\ \quad \quad \quad = \cfrac{1}{2 \sqrt{t}}
 
と求められます。
また、この直線は当然点Aを通るので、直線ABの方程式は
 直線 : y = \cfrac{1}{2 \sqrt{t}} (x - 0) + \cfrac{\sqrt{t}}{2} \\ \quad \quad \quad = \cfrac{1}{2\sqrt{t}} x + \cfrac{\sqrt{t}}{2}
 
となります。
これでStep1はOKです!次のステップに進みましょう!
 

Step2) 直線が接する曲線と接点を求める 

Step1で求めた直線が接する曲線、つまり包絡線を求めていきましょう。

包絡線を求めるためには、直線ABをパラメータ tについて微分し、元の直線の方程式から tを消去すれば良いです。

これは事実として暗記してしまいましょう!

 

直線の式の両辺を t微分すると

 0 = - \cfrac{1}{4 t \sqrt{t}} x + \cfrac{1}{4 \sqrt{t}} \\ \Leftrightarrow t = x

となるので、これを直線ABの式に代入して tを消去すると

 y = \sqrt{x}

と、包絡線にを求めることができました!

 

また、接点についても計算すると (t, \sqrt{t})と求めることができます。

 

Step3) 直線の動きを想像して領域を図示する

Step2により直線ABは、曲線 y = \sqrt{x}の接線であり、接点の x座標 tは、 t \gt 0なので、この直線は下図のように動いていくことが想像できますね。
 

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このことから領域を図示すると下図のようになります。

(ただし境界は y軸の y \leqq 0を含まず、その他は含む)

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まとめ

いかがでしたか?

順像法、逆像法に続き包絡線を用いた解説についても説明してきましたが、包絡線による解法はかなりイメージがしやすく、計算量も少ないかったと感じたのではないでしょうか。

実際、包絡線による解法を適用できる場合は非常に有効な解法ですので是非ともマスターしておきたい解法と言えます!