【受験数学】領域の解法を徹底解説!【順像法】【軌跡と領域】(例題つき)

今回は軌跡と領域の分野から、領域についての解説をしていきます。

 

領域は軌跡同様、教科書レベルの問題は解けるが、入試問題のような難易度の高い問題になると途端に解けなくなるという人が多いのではないでしょうか。

このような人は、教科書レベルの問題と入試問題とでは必要な知識や解き方が違うと思うかもしれません。

しかし、実は教科書レベルの簡単な問題も、入試に出題されるような難易度の高い問題も、基本となる考え方や解き方は同じです!

 

そこで今回は領域の分野に焦点を当て、その主な解法を紹介していきます!

そしてその後、主な解法の中でも“順像法”(ファクシミリの原理と呼ばれることもあります)について取り上げ、より詳細に解説していきたいと思います!

 

軌跡の解法については以前に解説した記事があるので、そちらも興味があればぜひご覧ください!!

hmorinari.hatenablog.com

 

それでは領域の解法について解説していく前に、まずは例題をあげておきます。

 

(例題)
ある直線  l : y = ax - 2a^2 + 1がある。
 a a \geqq 0の範囲で任意に変化するとき、 l a \leqq x \leqq 4aの部分の通過領域を求め、図示せよ。 

領域の問題に対する主な解法

まずは領域の問題を解く際に用いる主な解法を紹介しておきます。
主な解法は以下に挙げる3種類です!

領域の問題を解く際は、まずは上記3つのうち、どの解法を用いるのかを決めるところから始めましょう!

とはいえ今はまだ上の3つが何が何だかわからない、という人もいると思うので、それぞれの概要を説明していきます!

 

それぞれの解法の特徴

順像法(ファクシミリの原理)の特徴

この解法は比較的イメージしやすい解法だと思います。

それほど計算量も多くなく、比較的様々な問題を解くことができるのが特徴です。

多くの受験生にとっては、まずはこの解法を抑えることをお勧めします!

ある xを固定したときの yの範囲を求め、それを全ての xについて適用する方法です。

この考え方がFAXの原理に似ているので、ファクシミリの原理と呼ばれることもあります。

(とはいえ、今ではFAXと言ってもあまり伝わらないかもしれませんが)

今回はこの解法について詳しく解説します!

 

逆像法の特徴

この解法は領域を厳密に扱う方法です。

そのため理解するのは少し難しいかもしれません。

さらに計算量が多少増える傾向にあります。しかしその分原理的には全ての問題に適用することができる優れた解法でもあります!

国公立や難関私立など、難易度の高い大学を受験する人は必ず知っておくべき解法でしょう!

この解法はまた次回以降にどこかで解説します!

[追記]

逆像法に関する解説記事も書きましたので、本記事末尾のリンクよりこちらも併せてご覧ください!

 

包絡線の特徴

この解法は非常に直感的な解法であり、領域をイメージしやすいので、受験生にとっては最も親しみやすい解法かもしれません。

しかし適用できる問題が直線の通過領域の問題の中でも一部の問題と、かなり限られているため、この解法だけを知っているという状態は危険です。

計算量も少なく簡潔な解法なので、知っておくに越したことはありませんが、少なくとも順像法の解法をマスターしてから学ぶことをお勧めします。

 

3つの解法の特徴まとめ

それぞれの解法の特徴は上で書いた通りです。

それでは結局どの順番に勉強すればいいんだと思うかもしれません。

そしてどのように解法を選べばいいんだとも思うかもしれません。

学習の順番については志望している大学の難易度別に個人的なおすすめを書いておきます。

解法の選び方は共通して書いておきます。

 

<学習の順序>

・国公立や難関私立を志望している人

逆像法→包絡線→順像法

 

・一般的な大学や私立医学部を志望している人

順像法→包絡線→逆像法

 

<解法の選び方>

直線の通過領域か?

 →(yes) 包絡線を試す

  →(解けない) 順像法 or 逆像法を試す

 

 →(no) 順像法 or 逆像法を試す

 

(*順像法 or 逆像法と書いた部分は、どちらか知っている解法を試してください。

  両方ともマスターしているという人は、自分の得意な方を試してください。)

 

学習の順序として上記のように書いた理由を書いておきます。

一般的に難易度の高い問題は逆像法を用いて解くことが多いです。そして逆像法をマスターしていれば、極端な話、順像法については知らなくても問題を解くことができます。

従って順像法の勉強をするよりも、逆像法とはかなり毛色の違う解き方である包絡線を勉強すべきでしょう。

 

逆にそれほど難易度の高くない問題であれば順像法で解けることが多いです。

私立医学部もこの部類に入ると書いたのは、私立医学部では大学事態の難易度(つまり偏差値)が高くとも問題の難易度としては簡単なものが出題される大学が多いため、こちらにいれました。

(*慶応医学部といった一部大学については当然上の難関私立に分類されると考えてください)

 

 それでは前置きが長くなりましたが、ここから順像法(ファクシミリの原理)について詳しく解説していきます!

 

順像法(ファクシミリの原理)の解法

順像法による解法の手順は以下の4ステップで書くことができます。

 

(順像法による解法の手順)
  1. 通過領域を求めたい点を (X, Y)とおく
  2. 条件式を立てて、 Yについて解く
  3.  Xを定数とみなし、その他の文字について Yの範囲を求める
  4. 再度 Xを変数とみなし、領域を図示する
 
どうでしょうか。意外と単純な手順だと思いませんか?
特にStep1なんて座標を文字で設定しているだけで、ほとんど何もしていないに等しいですよね。
それではここからは冒頭の例題を用いて具体的にみていきましょう!
 

例題を用いた解説

かなり間が空いてしまったので、例題を再掲しておきます。 

(例題)
ある直線  l : y = ax - 2a^2 + 1がある。
 a a \geqq 0の範囲で任意に変化するとき、 l a \leqq x \leqq 4aの部分の通過領域を求め、図示せよ。 
 
それではStep1から手順を追っていきましょう!
 

Step1) 領域を求めたい点の座標を文字でおく

今回は直線の(正確には範囲が付いているので線分ですが)の通過領域を求めたいので、直線上の点の座標を設定しておきましょう!
つまり直線上の点をPとし
 P(X, Y)
としておきます。
これでStep1は完了です。
次のステップに進みましょう!
 

Step2) 条件式を立てて、Yについて解く

このステップでは条件式を立てていきます。

まず先ほど設定した点Pは、直線上の点なので

 Y = aX - 2a^2 + 1 \\ a \leqq X \leqq 4a \\ a \geqq 0

と書くことができます!

この他には特に条件がありませんので、 Yについて解けば良いですが、この形で既に解けていますね!

(* Yについて解く、とは Y = (何かしらの式)として表現するということです)

 
それではこのステップも完了です!次のステップへと進みましょう! 
 

 Step3) Xを定数とみなし、Yの範囲を求める

いよいよ領域を求める核となるステップです。

 Xを定数とみなして Yの範囲を求めるのですが、受験においては“範囲”と言われれば“最大値・最小値”だと思えばOKです。

つまり、 Xを定数とみなして Yの最大値・最小値を求めれば良いということになりますが、変数はなんでしょうか?

残った文字が変数となるので aですね!

ここが領域の重要なところです!何を変数として扱い、何を定数とみなすのか、というところに注意して考えましょう!

 

ではまずは Xが定数で aが変数だと見えるように、もう少し上Step2で求めた条件式を変形しておきましょう。

そうすると

 Y = - 2a^2 + Xa + 1 \\ 0 \leqq \frac{X}{4} \leqq a \leqq X

と書くことができますね!

 
つまり Y aの二次関数だとわかったので、平方完成しておきましょう。
 
 Y = - 2 \biggl( a -\cfrac{X}{4} \biggr)^2 + \cfrac{X^2}{8} + 1
 
そしてこの二次関数の (0 \leqq) \frac{X}{4} \leqq a \leqq Xにおける最大値・最小値を求めれば良いですが、これはそれぞれ
 最大値 : Y = \cfrac{X^2}{8} + 1 \quad \biggl( a = \cfrac{X}{4}のとき \biggr)
 最小値 : Y = - X^2 + 1 \quad \biggl( a = Xのとき \biggr) 
 
 と求められるはずです!
(上に凸の放物線なので、軸の位置と範囲に注目すれば良いですね)

 

従ってこれを“範囲”として表現すると

 
 - X^2 + 1 \leqq Y \leqq \cfrac{X^2}{8} + 1  
となります。
ここで、常に X \geqq 0であることには注意しておきましょう。
 

Step4) 再度Xを変数とみて、領域を図示する

さて、Step3で求まった式において、再度 Xを変数と見て、あとは領域を図示するだけです。

これを図示すると下図のようになりますね!(ただし、境界を含む)

 

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まとめ

いかがでしたか?

この記事を読んで順像法を用いて領域を解く方法が理解してもらえれば嬉しい限りです。

少し理解できたと思えた方はどんどん練習問題い取り組みましょう!

 

 

 

また、次回は逆像法を用いた解法の解説を行う予定ですので、そちらもぜひご覧ください!

逆像法についての解説も書きましたので、コチラよりご覧ください!

 

hmorinari.hatenablog.com