【受験数学】領域の解法を徹底解説!【逆像法】【軌跡と領域】(例題つき)

前回は順像法による解法を解説しましたが、今回は前回の続きとして、逆像法による解法を解説していきます。

 

順像法による解法や、領域の解法全般についての説明、特徴などについては前回書いたコチラの記事をご覧ください!

hmorinari.hatenablog.com

 

軌跡の解法については以前に解説しコチラの記事をご覧ください!!

hmorinari.hatenablog.com

 

今回も前回と同様の例題で考えていきましょう。

 

(例題)
ある直線  l : y = ax - 2a^2 + 1がある。
 a a \geqq 0の範囲で任意に変化するとき、 l a \leqq x \leqq 4aの部分の通過領域を求め、図示せよ。 

逆像法の解法

逆像法による解法の手順は以下の4ステップで書くことができます。

 

(逆像法による解法の手順)
  1. 通過領域を求めたい点を (X, Y)とおく
  2. 条件式を立式する
  3.  X, Yを定数とみなし、その他の文字についての存在条件を求める
  4. 存在条件により求めた領域を図示する
 
どうでしょうか。こちらも順像法と同じく意外と単純な手順ですね!
それではここからは例題を用いて具体的にみていきましょう!
 

例題を用いた解説

 
それではStep1から手順を追っていきましょう!
 

Step1) 領域を求めたい点の座標を文字でおく

今回は直線の(正確には範囲が付いているので線分ですが)の通過領域を求めたいので、直線上の点の座標を設定しておきましょう!
つまり直線上の点をPとし
 P(X, Y)
としておきます。
これでStep1は完了です。
次のステップに進みましょう!
 

Step2) 条件式を立式する

このステップでは条件式を立式していきます。

まず先ほど設定した点Pは、直線上の点なので

 Y = aX - 2a^2 + 1 \\ a \leqq X \leqq 4a \\ a \geqq 0

と書くことができます!

この例題では、他には特に条件がないのでこれで立式も完了です!

次のステップへと進みましょう! 
 

 Step3) XおよびYを定数とみなし、その他の文字の存在条件を求める

順像法と明らかに内容が異なるのはこのステップだけです!

“存在条件”というなんとも難しそうな言葉が出てきましたが、焦らなくて大丈夫です!

これはそのまま、“存在するための条件”だと思えば良いです。

例えば二次方程式において実数解が“存在するための条件”は「判別式が 0以上となる」ことでしたが、これがすなわち存在条件です!

 

では本問題における存在条件とはどうなるかを考えていきましょう!

そのためにはまず、何が変数で何が定数かをきちんと区別するところから始めましょう!

(これは順像法の時にも説明しましたが、領域の問題を解く上で最も重要なことです!

 
逆像法では X, Yの両方を定数とみなします。
そして残った文字を変数と見て、その文字についての存在条件を求めます。
本例題では、残った文字は aになるので、この文字のみ変数とみなし、 aについての存在条件を考えることになります。
 
それではまずはStep3で求めた式を、 aだけが変数のように見えるように変形しておきましょう。
そうすると
 2a^2 - Xa + Y - 1 = 0 \\ \frac{X}{4} \leqq a \leqq X \\ a \geqq 0
 
と書くことができます。
 aについての方程式は二次方程式なので、存在条件は判別式か!と思うかもしれませんが、少し待ってください!
よく見ると下に aの範囲を制限する不等式がありますね!
なのでこれは単純に判別式を用いて存在条件を求めることはできず、二次方程式の解配置問題として解く必要があります。
解配置問題として解くので、左辺を aの関数として f(a)と書きましょう。
すなわち
 f(a) = 2a^2 - Xa + Y - 1 \\ \quad = 2 \biggl( a - \cfrac{X}{4} \biggr)^2 - \cfrac{X^2}{8} + Y - 1
 
とおくことになります。
これが、 a軸と (0 \leqq ) \cfrac{X}{4} \leqq a \leqq Xの範囲で少なくとも1つの共有点を持つのは、下図のようなときです。

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従って、求める条件は次の2つです!
 f(X) \geqq 0
 f\biggl(\cfrac{X}{4} \biggr) \leqq 0
 
 1つ目の条件を変形すると
 f(X) = X^2 + Y - 1 \geqq 0\\ \quad \Leftrightarrow Y \geqq -X^2 + 1
となります。
 
さらに2つ目の条件については
 f\biggl(\cfrac{X}{4}\biggr) = -\cfrac{X^2}{8} + Y - 1 \leqq 0\\ \quad \Leftrightarrow Y \leqq \cfrac{X^2}{8} + 1
 
さて、これで存在条件が求まりました。
ここまでの議論は全て X \geqq 0の条件の下で行なっていたことを忘れずに次のステップへ進みましょう。
 

Step4) 存在条件により求めた領域を図示する

さて、Step3で求めた存在条件が、すなわち求めたい領域の式になっているので、あとはこれを図示するだけです。

すると下図のようになります!(ただし、境界を含む)

 

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まとめ

いかがでしたか?

順像法に続いて逆像法をについても説明してきましたが、中身は結構共通となる部分も多かったので、前回の記事を読んでくださった方にとっては理解しやすかったのではないでしょうか。

  

また、いずれは包絡線についての解説も行う予定ですので、お楽しみに!