【受験数学】確率漸化式の解き方を徹底解説!!【確率】(例題つき)
今回は大学入試の数学でも頻出分野である確率漸化式の解き方について解説していきます。
まず、確率漸化式の問題の例題を挙げておきます。
サイコロを回振り、が出た回数をとする。
このときが奇数である確率を求めよ。
このような確率漸化式の問題に苦手意識を持っており、教科書や参考書の説明を読んでもいまいち理解できない、という学生は少なくないと思います。
そんな確率漸化式ですが、実はその解き方はほとんど決まり切っており、定番の解法を知っているだけでほとんどの問題を解くことができるようになります!
ここではまず、主な解法を4種類紹介した後、その中でも最もよく使う解法1つについて詳しく解説して行きます!
目次
確率漸化式の問題を解く定番の解法
確率漸化式の問題を解く方法としては、主に4種類の解法が存在します。
それら4種類の解法を下に挙げておきます。
- 状態遷移図を用いる解法
- 集合の考え方を用いる解法
- 再帰構造に注目する解法
- 座標平面に軌道を描く解法
実はこれらの解法の中には漸化式を立てずに直接確率を求める解法も存在しますが、ここではその説明は割愛しておきます。
これら4種類の解法の中でも最も幅広い問題に適用することができるのは1.の状態遷移図を用いる解法です。
この状態遷移図を用いる解法さえ知っておけば、確率漸化式のほとんどの問題を解くことができると言っても過言ではないでしょう。
そこで、ここからはこの状態遷移図を用いる解法に焦点を当てて、上で書いた例題を用いながら解説していきます。
状態遷移図を用いた解法
状態遷移図を用いた解法は、4つの手順を踏むことで確率を求めることができます。
そしてその手順自体はどのような問題であったとしても共通です。
従ってこの4つの手順をしっかりと覚え、数問の練習問題で使い方を練習すれば、誰でも確率漸化式の問題を解くことができるようになります。
4つの手順は以下です。
- Step1) 取り得る“状態”を全て列挙する
- Step2) 状態間の遷移を図で表現する(これを状態遷移図と呼ぶ)
- Step3) 状態遷移図から、漸化式を立てる
- Step4) 漸化式を解き、一般項を求める
一つひとつ見ていきましょう!
Step1) 取り得る“状態”を全て列挙する
このステップでは、問題で注目しているもの(何かの数だったり移動する点)の状態を全て列挙します。
抽象的な説明をしてもわかりにくいので、具体例で考えましょう。
上の例題では、注目しているのはサイコロを回降っての目が出た回数であり、観点としてはが奇数かどうかということになります。
つまり、この例題では取り得る状態とは
- が奇数である状態
- が偶数である状態
の2つになります。
このように問題文で注目しているものは何か、さらにどのような観点で注目しているのか、を頼りに全ての状態を列挙しましょう。
Step2) 状態間の遷移を図で表現する(これを状態遷移図と呼ぶ)
次に、Step1)で列挙した状態間がどのように遷移する、つまり移り変わるかということを考えます。
上の例題ではサイコロを振っての目が出た回数が、次に出たサイコロの目によってどのように奇数と偶数の状態を遷移するか、ということを考えれば良いのです!
その遷移の様子を、遷移する確率とともに図で表したものが下図です。
そしてこれが「状態遷移図」と呼ばれるものです。
Step3) 状態遷移図から、漸化式を立てる
次に、Step2)で作った状態遷移図をもとに、求めたい確率についての漸化式を立てましょう。
求めたい確率はが奇数である確率です。
上の状態遷移図では左側の状態である確率がになります。
従って全ての状態の確率を足すとになることから、右側の状態(が偶数)である確率はとなります。
(*状態は全て列挙しているということは、注目しているものは任意のについていずれかの状態にあります。このことから、全ての状態の確率を足すとになるのです)
よって、についての漸化式は
と立式することができます。
また、の初項は一度サイコロを振って、の目が出るかどうかなので(の目が出た回数が奇数かどうかなので、一度しかサイコロを降らない場合はその目がかどうかと考えれば良いです)
と求められます。
Step4) 漸化式を解き、一般項を求める
あとはStep3)で求めた漸化式を解くだけです!
この漸化式は特性方程式を用いる形です。
特性方程式を立てて、解を求めておきます。
従って、漸化式は以下のように変形することができます。
これをのもとで解くと
と求まりました。
これが答えになります。
このStep4)で躓いた方は確率ではなく数列(漸化式)の分野を復習しおきましょう!
まとめ
- 確率漸化式の問題を解く定番の方法は4つある
- その中でも状態遷移図を用いる解法が最も汎用的
- 状態遷移図を用いる解法では4つの手順を踏むだけで確率を求めることができる
- 練習が必要なのは特にStep1)である
また、今回の例題では状態が2つだけであるような問題設定でしたが、3つ以上の状態が考えられるような問題が出題されることもあります。