【過去問解説】日本大学医学部の数学を徹底解説【私立医学部】

今回は日本大学医学部の数学を解説しようと思います!

 

大学受験の数学の問題には一般的に様々な解法が存在します。

そしてそれらの解法には各々特徴があります。その特徴を大別すると次の二種類に分けられます!

  1. 計算は簡易だが、思いつきにくかったり、他の問題に応用しにくい解法
  2. 計算は多少面倒だが、様々な問題に応用できる汎用的な解法

私は個人的には2.のような解法をお勧めします。

1.のような解法は計算が楽なので魅力的に見えますが、非常にたくさんの解法を覚える必要があったり、試験本番ではその場で思いつきにくかったりします

2.のような解法は一度しっかりと覚えてしまえば様々な問題に応用することができ、本番の試験でも使える可能性が高いからです。

受験の勉強で大切なのは、ある問題に特化した解法を学ぶのではなく、いかに本番の問題でも使うことができる武器を増やすかということです!

 

今回は2016年、2017年、2018年の過去問からいくつかピックアップし、汎用的な解法を紹介してきたいと思います!

 

 

2016年[2](2)三角関数

この問題はy = 3\sin^2{\theta} - 5 \cos{\theta}\sin{\theta} - 2\cos^2{\theta}という関数の最大値と最小値を求めよ、という問題です。

このように全ての項が三角関数の二次式であるものは、「倍角の公式を用いて次数下げを行う」という解法が鉄板です!

 

まずは倍角の公式を用いて次数下げを行うとはどういうことかの解説をしておきます!

倍角の公式は以下です。

 \sin{2\theta} = 2\sin{\theta}\cos{\theta}

 \cos{2\theta} = 1 - 2 \sin^2{\theta}\\ \quad \quad \,\,  = 2 \cos^2{\theta} - 1

上の公式の右辺は三角関数の二次式ですが、左辺は一次式です。

つまり、この公式を用いて二次式の項を一次式に変換することができます!これが次数下げです!

 

具体的に計算してみましょう!

倍角の公式から、

 \cos{\theta} \sin{\theta} = \cfrac{\sin{2\theta}}{2}, \quad  \sin^2{\theta} = \cfrac{1 - \cos{2\theta}}{2}, \quad  \cos^2{\theta} = \cfrac{1 + \cos{2\theta}}{2}

であることがわかるので、これをもとに次数下げを行うと、

 y = 3\sin^2{\theta} - 5 \cos{\theta}\sin{\theta} - 2\cos^2{\theta} \\ \quad  = 3 \cdot \cfrac{1 - \cos{2\theta}}{2} -5 \cdot \cfrac{\sin{2\theta}}{2} - 2 \cdot \cfrac{1 + \cos{2\theta}}{2} \\ \quad = - \cfrac{5}{2} (\sin{2\theta} + \cos{2\theta}) + \cfrac{1}{2}

と式変形することができますね!

ここまで変形できてしまえば、この関数の最大値と最小値を求めることはそこまで難しく感じないのではないでしょうか?

あとは \sin{2\theta} + \cos{2\theta}の部分を三角関数の合成の公式を用いてまとめてしまえばOKです!

 

本問題の解説の続きや、2016年の他の問題の解説はコチラ!!

2016年の全問題をA4で約50ページに渡り解説しています!

coconala.com

またはコチラ!!

https://item.mercari.com/jp/m69117653383/

 

 

2017年[1](1)解と係数の関係

この問題は二次方程式の二つの解を \alpha, \,\,\,\, \betaとしたときに \alpha^2 + \beta^2 \alpha^3 + \beta^3の値を求めよ、という問題です。

こうした解と係数の問題は定番の問題であり、どの大学でも頻出となっています。

こうした問題においても次数に注目することが非常に重要です!

まず、元の二次方程式に解と係数の関係を用いて

 \alpha + \beta = - \cfrac{5}{3} \\ \alpha \beta = \cfrac{8}{3}

 であることがわかっています。

従って、

 \alpha^2 + \beta^2 = (\alpha + \beta)^2 - 2 \alpha \beta \\ \quad \quad \quad = \biggl(-\cfrac{5}{3}\biggr)^2 - 2 \cdot \cfrac{8}{3} \\ \quad \quad \quad = - \cfrac{23}{9}

 と計算されます。

ここまではいいですね!

 

次に \alpha^3 + \beta^3についてはどのように計算すれば良いでしょうか?

3次式を作り出したいので (\alpha + \beta)^3として、余分な項を引き算する、というのがまずは思いつくのではないでしょうか。

この方法でももちろん解くことができますが、例えば問題で問われているのが \alpha^7 + \beta^7などであれば同じように (\alpha + \beta)^7を計算するでしょうか。これは現実的ではありませんね。

そこで重要なのが次数に注目することです!

 

今求めたい \alpha^3 + \beta^3は3次式です。

 (\alpha + \beta)^3とするのは1次式を3乗することで3次式を作るのも一つの方法ですが、他にも2次式と1次式を掛け合わせることで3次式を作るという方法もあります!

つまり (\alpha^2 + \beta^2) (\alpha + \beta)として、余分な項を引き算すれば良いということです!

この問題では高々3次式なのでそこまでありがたみを感じないかもしれませんが、7次式などではどうでしょうか?(実際にどこの大学かは忘れましたが出題されていたように思います)

 (\alpha^3 + \beta^3) (\alpha^4 + \beta^4)を計算した方がずっと楽ですね!

 \alpha^4 + \beta^4を求めるためにはどうすれば良いかと思う人もいるかもしれませんが、これも4次式なので (\alpha^3 + \beta^3) (\alpha + \beta)というように3次式と1次式を掛け合わせるか、あるいは (\alpha^2 + \beta^2)^2というように2次式を2乗することで求めることができます!

これも (\alpha + \beta)^4とするよりもずっと楽です!

 

以上のことから、 \alpha^3 + \beta^3について

 \alpha^3 + \beta^3 = (\alpha^2 + \beta^2) (\alpha + \beta) - \alpha \beta (\alpha + \beta) \\ \quad \quad \quad = \cfrac{5}{3} \biggl( - \cfrac{23}{9} \biggr) - \cfrac{8}{3} \biggl( -\cfrac{5}{3} \biggr) \\ \quad \quad \quad = \cfrac{235}{27} 

と計算できるわけです!

 

本問題のより詳細な解説や、2017年の他の問題の解説はコチラ!!

2017年の全問題をA4で50ページ以上に渡り解説しています!

coconala.com

 またはコチラ!!

https://item.mercari.com/jp/m97898264976/

 

 

2018年[1](2)複素数

この問題は

三次方程式  ax^3 + bx^2 + 25x - 8a = 0  が  x = 1 + \sqrt{2} i  を

解に持つときの a, bの値を求めよ、という問題です。

こうした問題においてはまず求めたい未知数の数と、立てられそうな条件式の数を比較することが重要です!

求めたい未知数の数は aとbの2つです。

立てられる条件式については、解 x = 1 + \sqrt{2} iを代入して得られる式1つ、かと思うかもしれませんが、これは複素数解なので、実数部分と虚数部分に注目することで2つの式を立てることができます!

これで未知数の数と条件式の数が揃っているので計算さえすれば解けるということがわかりました!

(この考察を怠ってしまうと、 x = 1 + \sqrt{2} iが解なので共役な複素数である x = 1 - \sqrt{2} iも解であるという事実を使って、他の条件式を立てるということをしてしまうかもしれませんが、そうした無駄な計算を避けることができます!

また、未知数の数がもう少し多くなった場合に、何をすれば良いかわからなくなってしまう、ということも避けられます!例えば条件式が足りていないのであれば使っていない条件はないかと考えることができますし、条件式は足りているのであればどう計算すれば良いかを考えればいいのです!)

 

ということで大きな方針は立ちました!

 x = 1 + \sqrt{2} iを元の方程式に代入して実数部分と虚数部分でそれぞれ条件式を立て、連立して aとbを求めればOKです!

そして実はここからが複素数の問題で重要なことです!

この x = 1 + \sqrt{2} iという解をそのまま方程式に代入しても良いのですが、その場合 (1 + \sqrt{2} i)^3といった多少面倒な計算をする必要があります。

また、他の問題と同じ話になりますが、これがもっと高次の式だった場合、どんどん計算が大変になり計算ミスの危険性も増していきます。

そこで重要になってくるのがまたも次数下げです!

 

では、 x = 1 + \sqrt{2} iという式を使ってどのように次数下げを行うかということを解説していきます!

次数下げの基本的な発想は2次式と1次式を同一の式の中に登場させるということです。しかし、上式ではまだ2次式が登場していないため、両辺を二乗するなどして2次式を登場させる必要があります。

また、このときできれば虚数 iは消えて欲しいので、 x - 1 = \sqrt{2} iという形に変形してから両辺を2乗します!

すると

 (x - 1)^2 = (\sqrt{2} i)^2 \\ \quad \Leftrightarrow x^2 - 2x + 1 = -2 \\ \quad \Leftrightarrow x^2 = 2x - 3

となり、 (2次式) = (1次式)の式が導き出されました! 

これで次数下げを行うことができます!

上の式変形のポイントは「虚数 iだけ右辺に残して両辺を2乗する」ということです!

 

2次式が1次式に次数下げできるので、これで何次式であっても同様に1次式まで下げることができます!

例えば3次式であれば

 x^3 = x \cdot x^2 \\ \quad = x \cdot (2x - 3) \\ \quad = 2 x^2 - 3x \\ \quad = 2(2x - 3) - 3x \\ \quad = 4x - 6 - 3x \\ \quad = x - 6

という次数下げを行うことができます!

同様の操作を繰り返すことで、何次式であっても1次式まで次数を下げられるということがわかりますね!

 

これにより元の式を次数下げすると、

 (左辺) = ax^3 + bx^2 + 25x - 8a \\ \quad = a (x - 6) + b (2x - 3) + 25 x - 8a \\ \quad = (a + 2b + 25) x - (14a + 3b)

と、1次式まで下げることができました!

あとはこれに、 x = 1 + \sqrt{2} i を代入して実数部分、虚数部分それぞれを  = 0 とすれば良いのです!

 

本問題のより詳細な解説や、2018年の他の問題の解説はコチラ!!

2018年の全問題をA4で50ページ以上に渡り解説しています!

 

 

→こちらは現在受け付けておりません。申し訳ございません。